米国陸軍の新型ミサイル防衛レーダーが、インド太平洋地域での運用試験のためにグアムに展開された。 試作型の下層防空・ミサイル防衛センサー(Lower Tier Air and Missile Defense Sensor ‐ LTAMDS)は、2025年7月下旬に到着したと、ダン・ドリスコル(Dan Driscoll)米国陸軍長官が述べた。
ドリスコル長官は、グアムでLTAMDSを運用する部隊であるタスクフォース・タロン(Task Force Talon)を訪問した。グアムは米国の領土である。 同長官はディフェンス・ニュース(Defense News)に対し、この配備は開発が正式に完了する前に、実環境でレーダーを評価するものであると語った。
「グアムの兵士たちは本土防衛の最前線に立っており、最高の装備を受けるに値する」と同長官は声明で述べた。 「我々は最新鋭のLTAMDSを運用環境で稼働させるために展開した。 このレーダーは我々の兵器システムの探知範囲と殺傷力を大幅に向上させるだろう。 我々は地域でこの装備を試験できることに興奮しており、稼働開始に向けて改良を続けていく」
グアムは、インド太平洋地域における潜在的な敵対国に対する第一線の防衛の一部を担っている。 北京から約3,800キロメートルに位置するこの島には、重要な米軍基地が存在している。 台湾をめぐる中国共産党との緊張の高まりや、北朝鮮のミサイル挑発により、グアムは高度化する脅威の射程内に入っている。
レイセオン・テクノロジーズ(Raytheon Technologies)が製造するLTAMDSは、従来のパトリオット(Patriot)ミサイル防衛システムのレーダーを置き換えるよう設計されており、探知および識別能力を向上させるとともに、360度の脅威探知能力を備えているとディフェンス・ニュースは伝えている。 レイセオンによれば、主アレイはパトリオット・レーダーの2倍以上の出力を発揮し、探知範囲を100キロメートル以上に拡大し、脅威に対する追跡精度を向上させる。 LTAMDSは複数の高速機動目標を同時に探知・追跡・識別でき、陸軍の統合防空ミサイル防衛指揮システムと連携して迎撃を調整する。
試作型LTAMDSは、8回の主要なミサイル飛行試験および約1万時間の環境・機動性評価を受けたと、ディフェンス・ニュースは伝えている。 これらの試験により、短距離弾道ミサイルや低高度巡航ミサイル模擬標的に対する性能が検証された。 このレーダーは4月に初期生産が承認され、2028年までに本格的な量産体制に入る予定である。
LTAMDSはグアムにおける終末高高度防衛(Terminal High Altitude Area Defense ‐ THAAD)システムに加わることになる。 現在2基の試作機が配備されており、3基目は2027年に納入予定である。 これらのセンサーから得られるデータは、パトリオットおよびTHAAD迎撃ミサイル、さらに同盟国の装備を統合して協調させ、グアムの約17万人の住民と重要な軍事施設を防衛するために設計された統合アーキテクチャに組み込まれる。
