NASAの スペースシャトルは、2011年に引退するまでの30年間、地球低軌道で運用された。しかし、これらの宇宙船に代わる米国航空宇宙局のオリオン宇宙船は、マーキュリー、ジェミニ、アポロ計画でおなじみの円錐形カプセルの設計に戻った。これは、NASAがこの新型宇宙船を地球低軌道外の目標の探査に使用することを意図していたからだ。
しかし近年、宇宙飛行機の設計が復活している。2010年以降、米国宇宙軍(および以前の米国空軍)は、X-37Bと呼ばれるロボット型宇宙飛行機を極秘任務で地球低軌道に打ち上げている。中国共産党は神龍(シェンロン)と呼ばれる独自の軍事用宇宙飛行機を保有している。
軌道飛行が可能な初の商業宇宙飛行機であるシエラ・スペース社の「ドリームチェイサー」の試験飛行が、2025年に予定されている。成功すれば、この宇宙船は国際宇宙ステーションへの物資補給と、最終的には乗組員の輸送にも使用できる可能性がある。
宇宙飛行機は、カプセルのようにパラシュートを使用して水上や平地に着水するのではなく、地球の大気圏内で飛行または滑空し、滑走路に着陸することができる。また、宇宙船が大気圏に再突入する際の操縦性も向上し、特定の再突入地点から着陸可能な地球の表面積が広がる。
有人宇宙飛行の初期の頃から、宇宙飛行機には関心が寄せられてきた。米国では1957年に軍事用宇宙飛行機「ダイナソア」計画が開始されたが、建造開始直後に中止になった。この機体は当時としては洗練されており、高温に耐えられる金属合金を使用し、宇宙から帰還した後に取り外すことができる前面の熱シールドを備えていた。これにより、着陸時にパイロットが視界を確保できた。
1981年に就航したスペースシャトルは、実用化された初の宇宙飛行機だった。当初は、打ち上げ頻度を増やし、再利用性も高くなる予定だったが、打ち上げと打ち上げの間に大規模な改修が必要であることが判明した。
他国の宇宙機関も1980年代と1990年代に投資を行い、欧州では宇宙飛行機「エルメス(Hermes)」、日本では「ホープ(Hope)」という機体の開発が行われた。両計画とも、主にコストの問題で中止となった。ソ連は「ブラン(Buran)」と呼ばれる独自のシャトルのような機体を開発し、1988年に一度宇宙飛行に成功している。この計画はソ連の崩壊後に中止された。
宇宙飛行機は現在、新しい設計技術、熱保護システム用の改良された素材、設計や飛行パラメータの様々な側面を最適化する先進的なコンピュータモデリングおよびシミュレーションツール、推進システムの継続的な改善などの理由から、当面有望であると考えられている。ロイター