米国国防総省(DOD)は、極超音速兵器のテストに利用する新たな陸上の飛翔経路を米国内および国外で確保すべく取り組んでいる。
米国国防総省はこれを極超音速兵器で競合する中国とロシアに対応するための優先課題としている。 米国が開発している兵器には2つのタイプがある。2025年2月の米国議会調査局のレポートによると、ひとつは極超音速滑空体(hypersonic glide vehicles – HGV)で、ロケットから発射された後に目標に向かって滑空する。もうひとつは極超音速巡航ミサイル(hypersonic cruise missiles – HCM)で、高速の吸気型エンジンによって飛行する。
これら次世代兵器は、同系統の従来型兵器と比べると「戦場におけるタイムスケールを劇的に短縮する」と、2025年2月にシンクタンクのアトランティック・カウンシル(Atlantic Council)から出されたレポートに記載されている。 同シンクタンクによる比較を以下に引用する。
「800キロメートル離れた目標に攻撃を加える場合、従来の亜音速巡航ミサイルは約1時間の飛行を要する。極超音速巡航ミサイルは10分かからずにこの距離を飛行できる。 極超音速滑空体は、グァムと台湾との間(海峡)を30分未満で飛行できる」
さらにアトランティック・カウンシルによれば、これらの兵器は「ほとんどの対空防御システムより高く、ほとんどの弾道ミサイル防御システムより低く巡航または滑空できるため、機動性が高い」
2025年3月にディフェンスニュース(Defense News)は、現在国防総省は海域上空を利用して極超音速兵器の目標攻撃能力をテストしていると報告している。 一方で、国防総省が
極超音速兵器テストの一層の強化に取り組むなかで、試験飛行用の経路を増やす必要があることが明白となってきた。とりわけ、「ナビゲーションシステムの欠陥や敵のデコイなどのより過酷な条件下」で性能を審査することができる陸上の空域だとディフェンスニュースは述べている。
たとえば、米国陸軍の「ダーク・イーグル」は米国海軍と協力して開発したHGVの搬送用ミサイルであり、2024年に実施した「エンドツーエンド」の各種試験に成功しており、2025会計年度中の配備が見込まれている。
ディフェンスニュースによれば、米国国防総省による新たな区域の探索は、飛翔経路として少なくともあと2つの選択肢を用意せよという2024会計年度の国防権限法(National Defense Authorization Act ‐ NDAA)に呼応するものだ。 最初の調査で世界中に1,500を超える区域が特定されたと、国防総省テストリソース管理センター(Test Resource Management Center – TRMC )のジョージ・ラムフォード(George Rumford)所長が同ニュースで話している。
この膨大な区域数は、3か所にまで絞られている。ディフェンスニュースによれば、その1つがオーストラリアにあり、同国と英国、米国の間で合意された安全保障協定、つまりAUKUSに委ねられる。 残り2か所はアラスカ、そしてニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル発射場だ。
これらの区域を運用するまでには、長期にわたる計画と承認プロセス、さらにインフラ整備に必要な資金も必要になるとディフェンスニュースは伝える。 2024年11月に国防総省が言及したこととして、AUKUS各パートナー国との連携により2028年までに極超音速飛行試験および実験(Hypersonic Flight Test and Experimentation)プロジェクトと呼ばれる飛行訓練を最多で6回実施すると、ディフェンスニュースのウェブサイト、C4ISRNETは報告している。
