2024年9月、米国を含む約60か国が、軍事におけるAIの責任ある利用を管理する「行動のための青写真」を承認したが、中国は法的拘束力のないこの文書を支持することを拒否した。
ソウルで開催されたこの「軍事領域における責任あるAI利用(The Responsible AI in the Military Domain )」サミットは、2023年にハーグで開催された同様のサミットに続く2回目のものとなった。当時は中国を含む約60か国が、法的拘束力のない控えめな「行動の呼びかけ」を承認した。
各国の政府代表は、この最新の計画は、ウクライナが配備したAI搭載の無人機など、軍における高度な議論や進展に沿った、より行動志向的なものであると述べた。また、この文書はウクライナも承認している。
オランダのルーベン・ブレーケルマンス(Ruben Brekelmans)国防相は、「我々はさらなる具体的な一歩を踏み出している。昨年は、共通理解の構築に重点を置いていたが、現在は行動に移す段階に来ている」と述べた。
これには、どのようなリスク評価を行うべきか、人的制御などの重要な条件、リスク管理のために信頼醸成措置をどのように講じることができるかなどを整理することが含まれると、同国防相は言う。
文書に追加された詳細事項には、テロリスト集団などによる大量破壊兵器の拡散にAIが利用されることを防止する必要性や、核兵器の使用における人的制御と関与を維持することの重要性などが盛り込まれた。
この問題については、2023年に米国が発表した「AIの責任ある軍事利用に関する政治宣言」など多くの取り組みが挙げられる。
ケニア、オランダ、シンガポール、英国が共催したソウルサミットでは、
複数の利害関係者による議論が単一の国家や団体に支配されないようにすることが議題となった。
中国は、サミットに政府代表団を派遣した約30か国に含まれていたが、この文書を支持せず、利害関係者間の見解に大きな相違があることを示している。ブレーケルマンス国防相は次のように述べている。「我々は、全世界を味方につけることは決してできないという現実も直視しなければならない。全員が遵守しているわけではないという事実にどう対処すべきか?これは複雑なジレンマであり、我々も検討すべきである」
国連軍縮研究所の安全保障・技術プログラム部門の責任者であるジャコモ・ペルシ・パオリ(Giacomo Persi Paoli)氏は、各国はサミットの合間にも他国と協力し、リスクを軽減すべきだと指摘した。「この青写真は、前進に向けた漸進的な一歩である。あまりにも急すぎると、多くの国が参加したがらなくなるという非常に高いリスクがある」と述べた。ロイター