新たに打ち出された2つの北大西洋条約機構(NATO)のイニシアチブは、加盟国の領空における脅威の進化に対抗するために防空能力の強化を目指している。

2025年2月にブリュッセルで開催された国防相会議で、欧州同盟加盟国のうち、ベルギー、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ギリシャ、ラトビア、リトアニア、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、トルコ、英国の15か国がイニシアチブに署名した。 1つ目の「視認性の高い」イニシアチブは、同盟諸国が低空での航空脅威、具体的には高度150メートル以下の飛行に対するより効率的な防衛策を開発することを目指している。 2つ目のイニシアチブは、レーダーや衛星などの能動的航空監視システムでは見逃される可能性のある脅威を特定するために、騒音検知などの受動的航空監視を強化することを目的としている。 このイニシアチブには、チェコも同盟国側として署名した。

また、NATOは、以下の3つの既存プロジェクトに新たなメンバーを加える形で拡大した:

  • 極めて短い距離から中距離までの脅威に対抗するための地上配備型防空能力。
  • 事前配備された備蓄を支援し、合理化するための多国間武器備蓄イニシアチブ。
  • NATOの訓練および演習における空域利用に関して同盟国の民間および軍当局間の調整を強化するための国境を越えた空域協定。

NATOのラドミラ・シェケリンスカ(Radmila Shekerinska)副事務総長は署名式で、「これらのイニシアチブは、我々が共通の安全保障を確保すべく効果的な対策を共に進めていることを示すものだ」と述べた。

閣僚会議中、NATOは統合防空ミサイル防衛(IAMD)政策を初めて公表した。 この戦略的枠組みは、国家および非国家主体が、無人航空機システム(UAS)、ミサイル、センサー、指揮、統制、通信、情報システムを含む先進的な航空および極超音速ミサイル能力を獲得する中で、戦略的競争が激化しており、航空およびミサイルの脅威を抑止するための継続的な活動を概説している。

「ロシアは、多数の先進的な航空およびミサイル能力の開発、配備、運用を行っており、小型無人機から巡航ミサイル、弾道ミサイル、極超音速ミサイルに至るまで、あらゆる方位角および高度・速度で斉射攻撃を展開してきている」と政策文書は述べ、テロリスト集団もまた脅威であると指摘している。 さらに「2つの主だった脅威は性質が異なるが、ロシアの戦略パターンと作戦、およびテロリスト集団や組織の戦略パターンと作戦サイクルの両方に対処できる能力が必要である」としている。

統合防空ミサイル防衛は、同盟が「影響なし」または「被害なし」の成果を達成するためのシームレスかつ包括的な姿勢に不可欠であると位置づける4つの機能領域で構成されている。

  • 「あらゆる範囲と高度をカバーする」受動的、能動的、静的、展開可能な技術を統合した航空監視システム。人工知能を組み込んでデータ融合と分析を行う可能性。
  • 戦闘管理、指揮、統制、通信、情報に重点を置き、複数の部隊やプラットフォームにわたるシームレスな情報共有を実現することで、回復力、冗長性、柔軟性を確保。
  • ミサイルや無人システムを含むあらゆる種類の脅威に対して、複数の距離と高度で動作することにより多層防御を提供する能動的防空サイル防衛システム。
  • 早期警戒システム、強化構造、分散、資産の多重化および偽装、隠蔽および欺瞞を含む受動的防空ミサイル防衛対策。 「NATOの重要なインフラおよび資産に対する潜在的なNATOの受動的防空ミサイル防衛措置に関しては、個々の主要要素の生存能力だけでなく、全体的な回復力を考慮した、より広範かつ体系的な視点が採用される必要がある」という。

NATO加盟国は6月にハーグで開催される2025年NATO首脳会合で支出を最優先事項として話し合う予定であるため、この政策はNATOの防空およびミサイル防衛活動の開発と実施を後押しすることが期待されている。

「我々は戦時体制に考え方をシフトする必要があり、防衛産業も我々と共にシフトする必要がある」と、NATOのマルク・ルッテ(Mark Rutte)事務総長は記者会見で述べ、 「我々の自由と繁栄は、これにかかっている」と語った。

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