宇宙における安全保障上の課題に対処するためには、加盟国間の能力向上と協力が必要であると、NATOの「スペース・センター・オブ・エクセレンス(COE)(Space Centre of Excellence)」の初回会議の出席者らは述べた。
2025年4月下旬、フランスのトゥールーズに防衛、学術、産業界を代表する約300人の出席者が集まり、戦闘領域としての宇宙の台頭を捉え、技術を活用し即応態勢を整えるうえで同盟がどのように脅威に対抗していくかについて議論した。
宇宙領域はまた、ミサイル警戒、ナビゲーション、安全な通信、情報・監視・偵察機能を提供することで、陸・海・サイバーの各領域を支え、強化する。この進化は、2019年にNATOが宇宙を作戦領域と宣言することにつながった。NATO同盟の2022年戦略構想は、あらゆる手段を用いてあらゆる脅威を予防、探知、遭遇、対応するために、宇宙で効果的に活動する能力を強化することを表明した。NATOは2023年、以下の4つの重要な柱に重点を置いたスペース・センター・オブ・エクセレンスを設立した:
- 潜在的な開発や実験のために、宇宙の動向、能力、コンセプトを監視する。
- NATO同盟の宇宙活動のための基本方針と標準化を策定する。
- 個別および集団の訓練プログラムや演習を通じて、熟練した宇宙労働力を育成する。
- データ分析と知識共有を最適化し、NATO同盟の宇宙戦略に反映させる。
米国宇宙軍(USSPACECOM)司令官のスティーブン・ホワイティング(Stephen Whiting)大将は、基調講演の中で、センター・オブ・エクセレンスは宇宙開発において進展を遂げていると会議出席者に語った。最近の主な成果としては、「多国籍軍 – オペレーション・オリンピック・ディフェンダー(MNF-OOD)」の完了が挙げられる。この多国籍による取り組みは、宇宙作戦の最適化を中心に、その他複数の宇宙関連任務の遂行を目的としており、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、ニュージーランド、英国の7か国が参加した。米国宇宙軍(USSPACECOM)の発表によると、ホワイティング大将は、多国籍部隊オペレーション・オリンピック・ディフェンダー(MNF-OOD)が初期運用能力(IOC)を達成し、現実の任務に即応可能なキャンペーン計画の署名をもって完結したと述べた。
さらにホワイティング大将は、「我々が生きている世界の現実に対応するため、私はNATOが宇宙ドクトリンをさらに進化させることを勧めたい」と述べ、「この同盟は戦略的優位性を持っている」と語った。
NATOの目標は、2030年までに完全なマルチドメイン作戦体制を構築することだ。この目標を達成する鍵は相互運用性を高めることであり、相互運用性とは、脅威や失敗に対する回復力を高めることによって、信頼できる抑止力を達成するために、軍隊や国家が結束して効果的かつ効率的に行動する能力を指す。NATO同盟は、訓練や 演習を通じてこの目標を達成し、政策、法的枠組み、事業文化における障壁を克服することを目指している。
会議出席者らはまた、能力投入のペースが戦略的競争相手に対する技術的優位性を維持する上で極めて重要なグローバル環境において、商業技術や産業を活用する方法についても取り上げた。NATOはパートナーシップを構築し、商業宇宙能力を軍事作戦に組み込むとともに、デュアルユース技術を通じて技術革新を加速させている。さらに、協調を促進するための規制や政策の枠組みの確立に取り組んでいる。
「宇宙での戦争は避けられないことではない。米国宇宙軍は、平和的な探査と利用のための領域として宇宙を維持することに引き続きコミットしている」とホワイティング大将は語った。そして、「いかなる紛争があろうとも、宇宙が将来の世代にとって安全で利用しやすいものであることを保証するための、宇宙領域の集団的な保護と防衛」を呼びかけた。
