NATOの最も新しいメンバーであるスウェーデンは、ポーランドにおける空域警備行動への参加という重要な貢献を通じて同盟での役割を確固たるものにしている。
スウェーデン空軍は、2025年4月から6月までの3か月間の任務に最大8機のJAS-39 グリペン(Gripen)戦闘機を展開する態勢を整えている。スウェーデンの戦闘機が国境を越えて行動するのは今回が初めてだ。 同盟各国は今回のスウェーデン軍の展開を同国にとって画期的な動きとして捉えている。同国がNATOの集団的自衛権の枠組みにより深く係わることになるからだ。
スウェーデンの任務遂行は、同国が2024年3月にNATOに加盟して1周年となる節目と重なる。 同国の加盟は、軍事的中立という長年の政策からの決定的な転換を意味する。この転換は、ロシアのウクライナに対する全面的侵略という安全保障上の懸念により促されたものだ。 NATOへの加盟後、スウェーデンは軍事行動への積極的な貢献へと大きく踏み出し、NATO加盟国として責任を担う用意ができていることを示した。
スウェーデンのNATO加盟までの道のりは平坦なものではなかった。 加盟には同国防衛政策の再調整が必須であり、同盟の基準を満たすために確かなコミットメントが求められた。
NATOの空域警備任務は同盟国の領空を保護し、潜在的な脅威から守るために策定されたもので、とりわけ東部側面に沿って同盟の防衛体制を維持するうえでの要諦だ。 その高度な機能性と汎用性によって、グリペン戦闘機は当該地域の地政学的緊張の中でNATOの作戦即応性と抑止力の強化に寄与する。
「この任務は、相互運用性の向上にとって重要なステップであり、スウェーデン空軍がNATOの防空体制に完全に組み込まれるというステップでもある」とスウェーデン空軍作戦部長のヨルゲン・アクセルソン大佐は言う。
欧州連合軍最高司令部広報担当官のマーティン・オドネル(Martin O’Donnell)米国陸軍大佐は、「これはNATOの新メンバーによる顕著な貢献だ」と述べた。 「我々の空域警備任務にスウェーデンが新たな力を与えてくれることを歓迎する」
スウェーデンの貢献は空だけにとどまらない。 この1年間ラトビアに兵士を派遣し、バルト海で海軍を支援した。
さらに、最近の爆撃タスクフォース(Bomber Task Force)作戦では、スウェーデンから参加した2機のグリペン(Gripen)戦闘機が米国空軍のB-52ストラトフォートレス(Stratofortresses)と並んで飛行した。
「我々は欧州同盟では一番新しいメンバーだが、米国空軍とは長い間協力関係にある。 彼らは重要なパートナーであり、こうした任務への参加は、訓練を共にして我々の同盟を強固にするための絶好の機会だ。 一緒に飛ぶことが出来て光栄だ」とスウェーデン空軍幕僚監部のミカエル・モーンソン(Mikael Månsson)中佐は言う。
「スウェーデンとのパートナーシップは爆撃タスクフォースの任務にとって極めて重要だ」と言うのは在欧米空軍アフリカ爆撃機部隊担当主任のケンドール・スミス(Kendall Smith)米国空軍中佐だ。 「彼らの空域にアクセスして後方支援を受け、米軍爆撃機とシームレスに統合することで共同任務の遂行がさらに効率的かつ効果的になる」